ガートナーによる2022年の先進テクノロジートレンド

目の前にあるものだけでなく、未来を意識して新技術も常にチェックしておきたいところ。

というわけで、今回は以下ページに記載のあるレーダー図から直近関係してきそうな採用まで3年未満までの技術についてコメントをつけていこうと思います。

https://www.gartner.co.jp/ja/articles/5-impactful-technologies-from-the-gartner-emerging-technologies-and-trends-impact-radar-for-2022

現在(0〜1年未満)

LCAP

LCAPとはそもそも何かというと「Low-Code Application Platforms」の略で、巷で最近話題になっている「ローコード開発」のことです。

有名なサービスとしては、Microsoft社のPower Appsやサイボウズ社のKintoneがあります。

ローコード開発では、新しいアプリを欲しい人がエンジニアに開発を依頼することなくアプリが作れるので、スピーディであり、コミュニケーション齟齬による「欲しいのはこれじゃなかった」という開発ではよくあるトラブルを防ぐことができます。

しかし、その一方で組織として運用ルールが未整備のまま各人がアプリの作成を進めると、似たようなアプリがボコボコとできてしまい、収集がつかなくなってしまう恐れはあります。

とは言ってもメリットの方が大きいので、LCAPを活用して企業としてのパワーを底上げできるといいなと感じます。

エッジAI

エッジAIとは端末側でAIの処理をやってしまおうという技術です。

これまでは端末側の性能等の問題もあり、AIの処理を行うためには端末からAIの処理が行われるサーバーにデータを送信して結果を受け取る必要がありました。

しかし、技術の進歩により、サーバーへの通信を行うことなく端末上でAIの処理ができるようになりました。

これにより、通信量を抑えることができ、サーバーのマシンパワーを抑えることができます。

Web開発でも、かつてはサーバーサイドでコンテンツを全て作り上げてブラウザに渡していましたが、昨今ではサーバーサイドはAPIとしてデータのみをブラウザに渡し、ブラウザ上のJavaScriptでコンテンツを作り上げる方式が主流になっています。

こちらもメリットが大きいので、今後様々な場面でエッジAIの導入を検討してみたいと思います。

パスワードレス認証

パスワードレス認証とは言葉の通りパスワードを使わずに認証する仕組みです。

身近な例で言うと、「Yahoo Japan!(以下ヤフー)」がパスワードレス認証方式です。ヤフーにログインする時はパスワードを入力するのではなく、都度SMSにワンタイムパスワードが送られて、それを使ってログインします。

紛らわしいですが、SMSを使っている点で似ている多要素認証とは厳密には別物になります。

多要素認証の構成要素で考えると、パスワード認証は知識情報ですが、パスワードレス認証は所持情報や生体認証になります。

パスワードレス認証は多要素ではなく一要素認証になりますが、知識情報に比べて所持情報や生体認証の方がセキュリティ強度が高いため、安心な認証方式となります。

まだまだパスワード認証+多要素認証が主流ですが、今後はパスワードレス認証への切り替わりが進んでいくのかもしれません。

1年以上〜3年未満

ハイパースケール・エッジ・コンピューティング

これはおそらく「ハイパースケールデータセンター」と「エッジコンピューティング」の今後の共存の話では無いかと思います。(違っていたらごめんなさい)

ハイパースケールデータセンターとは一定規模以上の大規模データセンターのことであり、これまではハイパースケールデータセンターへの集約が進んでいました。

エッジコンピューティングとは対局的にクライアントに近い位置で処理を行うことであり、ハイパースケールデータセンターとの棲み分けが進みそうです。

マルチモーダルUI

マルチモーダルインターフェースが同義語。

従来のキーボードやディスプレイなどのインターフェースに加えて、音声でのインターフェース、タッチパネルや仮想物体を用いたインターフェース、さらに触覚や力覚、嗅覚等をインターフェースとして利用する取り組みとなります。

特に今後仮想空間が一般的になってくると多様なインターフェースが登場してくるでしょう。

高度仮想アシスタント(AVA)

これは「AI会話型エージェント」とも呼ばれ、進化のスピードが速いAIを使った人間をアシスタントする仕組みです。

IoTプラットフォーム

これは目新しいものではなく、今後色々なデバイスがIoT化していく中で、それらを支えるプラットフォームです。

デジタル・ツイン

これは、現実の世界から収集した様々なデータを使って、ほとんど同じ状態をコンピュータ上で再現してしまう技術のことです。

コンピュータ上で限りなく同じ状態に再現することができれば、様々な検証を低リスクで行うことができ、新しい発見や何かの事故防止等に大きく寄与すると思われます。


ガートナーから公開される情報は参考になるので、今後も継続的にウォッチしていこうと思います。